「麻辣」で身体機能回復!(担担麺と坦々麺)

辛みを協調した四川料理は、中国の料理系統の中でも特に日本人に好評な料理です。本来の四川料理は「麻辣」と呼ばれる味を基本としますが、「麻辣」とは「麻痺するぐらいピリピリ」「辛辣さがピリピリ」という意味で、要するに「ピリピリと痺れるほど辛い」ということです。広東料理などと比べてかなり遅れて日本人に紹介された四川料理は、麻婆豆腐、青椒肉絲、棒棒鶏、回鍋肉、そして、坦々麺(正しくは、担担麺)といった、今では日本人にもファンの多い料理の数々でした。

四川省の省都・成都の言葉では、「担担」とは天秤棒のことです。19世紀の中頃、ある行商料理人が担担の片側に担担麺の具材を、もう一方に鍋と七輪をそれぞれつるして、炭火で温めて成都の町のお客さんに売り歩いたというのが発祥とされています(「担担」という天秤棒は日本にはありませんから、「坦々とした」という時の文字を使って、「坦々麺」と誤表記する場合が多いのもやむを得ないことではあります)。ともあれ、「担担」を使って売り歩かれた担担麺は、多くの食材を持ち歩くわけにはいかなかったため、汁なしでお碗程度の器に盛られて提供されるのが本来のスタイルです。

じめじめとして体を壊しやすい成都で、温めて提供される辛味の利いた担担麺は、発汗によって新陳代謝を促進して身体機能を回復する効果があったようです。四川料理の味の基本である「麻辣」が体によいということで人々に受け、担担麺はたちまちヒット料理となって広まっていきました。日本への担担麺の紹介者である某有名四川料理人は、唐辛子の激烈な辛さに慣れていない日本人のために辛味を抑えてマイルドな味になるようアレンジを加えました。それでも、大きめの丼で熱い汁が一杯の日本風担担麺が「麻辣」であるには違いありません。汗を拭き拭き坦々としたペースで食べるこの麺料理は、やはり担担麺ならぬ坦々麺なのかも知れません。

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